『チーズはどこへ消えた?』を読んだので書評を書いてみました。全世界で読まれているビジネス書ということで名前は知っていたのですが、読んだのは今回が初めてです。薄い本ではありますが、とても示唆に富んだ内容でした。
この本は「謝辞」「名言の引用」「私たちみんなが持っているもの——単純さと複雑さ」「ケネス・ブランチャード博士による裏話」「ある集まり シカゴで」「物語 チーズはどこへ消えた?」「ディスカッション その夜」という構成になっています。
「チーズはどこへ消えた?」という物語が本書の中心部分です。しかし、その前段の文章は、物語に入っていくための事前知識であったり、自分ごとに思いを巡らせたりするのを手伝ってくれたりします。どちらかと言えば、余計なお世話くらいにこれから始まる物語の解釈に必要な情報を提供してくれます。物語の後段の文章は、どう理解したか?どう行動するか?という議論になっています。議論する相手がいる状況で読むのであれば、後段の文章は読まずに実際に議論してみると楽しい気がしますね。
「チーズはどこへ消えた?」の物語部分を読んでみて、二人の小人、ヘムとホーのどちらの人格も自分の中にはあるなと感じます。二匹のネズミ、スニッフやスカリーのように行動しないとならないときでも、自分の中にいる小人が邪魔をすることがあります。でも、そんな小人の一人、ホーのように考えて、変化に適応していかなければなりません。
物語部分に出てくる格言を後学のためにまとめておきます。
- チーズを手に入れれば幸せになれる
- 自分のチーズが大事であればあるほど、それにしがみつきたがる
- 変わらなければ破滅することになる
- もし恐怖がなかったら何をするだろう?
- つねにチーズの匂いをかいでみること。そうすれば古くなったのに気がつく
- 新しい方向に進めば新しいチーズがみつかる
- 恐怖を乗り越えれば楽な気持ちになる
- まだ新しいチーズがみつかっていなくても、そのチーズを楽しんでいる自分を想像すればそれが実現する
- 古いチーズに早く見切りをつければ、それだけ早く新しいチーズがみつかる
- チーズがないままでいるより迷路に出て探したほうが安全だ
- 従来どおりの考え方をしていては新しいチーズはみつからない
- 新しいチーズをみつけることができ、それを楽しむことができるとわかれば人は進路を変える
- 早い時期に小さな変化に気付けば、やがて訪れる大きな変化にうまく適応できる
- チーズと一緒に前進しそれを楽しもう!
最後の方に出てくる要点もついでにまとめておきます。
- 変化は起きる:チーズはつねにもっていかれ、消える
- 変化を予期せよ:チーズが消えることに備えよ
- 変化を探知せよ:つねにチーズの匂いをかいでいれば、古くなったのに気がつく
- 変化にすばやく適応せよ:古いチーズを早くあきらめれば、それだけ早く新しいチーズを楽しむことができる
- 変わろう:チーズと一緒に前進しよう
- 変化を楽しもう!:冒険を十分に味わい、新しいチーズの味を楽しもう!
- 進んですばやく変わり再びそれを楽しもう:チーズはつねにもっていかれる
『チーズはどこへ消えた?』を読み進めると、必ず自分にとってのチーズは何だろうと思いを巡らすことになると思います。このチーズという言葉がワイルドカードになり、人生における様々なことに通用する本書の考え方を、自分ごととして読者に捉えさえてくれるのかもしれません。